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1月1日 ミュージカル・ピカレスク LUPIN(梅田芸術劇場)

ミュージカル・ピカレスク LUPIN

 

2024年1月1日 14時〜

梅田芸術劇場メインホール

 

真風さんが退団後初めてのミュージカルということ、古川雄大さんのミュージカルを以前コロナの影響で公演がなくなってしまい見損ねたことがあったことから、チャレンジしたらとれたチケット。

3階の一番後ろの席でした。

 

チケットを取ったときと状況が変わり、小池修一郎作演出ということと、宝塚は当分行かない気持ちになったことから(それについては改めて書きたいです)、気は進まなかったが、せっかく生きているチケットだからと意を決して元日から梅田へ。

 

元日の梅田はスタバ以外のお店はほぼ空いておらず、少し早く着いた私はがらんとした入り口で呆然(写真左端)とし、とりあえず待ちました。

お客さんは中年の女性が多かったものの、古川ファンも多いのでは?という印象。(あくまで印象)意外だったのは中年以上の夫婦が結構多かったこと。あとは、中年男性も多かったです。といっても2割くらいでしょうか。あと観劇バッグを持ったおばさまが皆無だったこと。

 

実は関西の劇場自体が久しぶりでした。もっていた宝塚のチケット(宙組、雪組)がことごとくなくなってしまい、このお正月の星組のチケットも一方的にキャンセルされ(これについても別に書こうと思います)、すっかり遠ざかっていました。(ミュージカルという意味では、12月に東京で観た劇団四季の『アナと雪の女王』以来一ヶ月ぶり。)

 

まずこの日は地震があったことを書かねばなりません。

正確な中断時間は動揺していて記録していませんでしたが、阪急の梅田駅で電車に乗ったのが18時くらいでしたから、けっこう中断していたのでしょうね。

私は最も高いところの客席でしたので、一番揺れたと思います。初めは「あ、地震」くらいでしたが、そのうち「揺れてる」と声が出るくらいでした。メインホールのシャンデリアが揺れていて、せり出した座席の方から悲鳴も出ました。

シーンはちょうどクライマックスに向かう辺りでしたが、感服したのは舞台上の古川さん真風さんをはじめ4人の演者は全く同様していなかったことです。その次の場面で真彩さんが一人で歌い上げるのですが、そこも歌いきっていました。

ただ、観ている私には一抹の不安が。「このまま続けるの?」と。

結局明転して、アナウンス。ロビーに出る方も少しおられましたが、ほとんどの方が座ったままスマホの電源を入れていました。スマホがなかなかつながらず、はらはらしましたが、大きな地震があったことを家族がLINEで知らせてくれていました。

そのうち、あと10分で再開しますというアナウンスが。そして、舞台は最後まで続けられたのでした。

 

肝心の感想ですが、行くまでにXやブログなどで帝劇で観た方の感想を読ませてもらっていたこともあり、比較的予想しながらとはいえ、その通りという感想。

古川さんのトップお披露目公演みたいだという感想があったのですが、理由がわかりました。作りがまさにそうなっているからです。小池作品がすべてそうだというわけではないですよね。でも、とにかく古川さんありきの構成。

古川ファンにはたまらないでしょう。彼の魅力を楽しみ尽くすお正月らしい娯楽作品です。

真風さんは、退団公演も拝見したのですが、正直「全部そのまんま」でした。うーん、そういう風に演出したのでしょう。ダブルキャストの柚木さんも拝見しないとわからないのですが。

そして、私の大好きな真彩さんは、宝塚の退団公演以来拝見しましたが、ずっと歌が上手くなったと感じました。素人の感想で生意気なことをいいますが、体感として、声が太くなって表現力も増したように感じたのです。とてもうれしかったです。

古川さんは初めて舞台を拝見したのですが、人気があるのは納得です。伸びやかな歌が気持ちいいくらいでした。なによりかっこいいですしね。

 

では、お話全体なのですが・・・

「これって観たことあるわ・・」と思ってしまいました。

小池氏の関係した真風さんの退団公演『カジノ・ロワイヤル』が思い出されてしまったのです。

まぁそれはしょうがないとして・・

もっとシリアスに深められそうな要素があるのに、なんとなくコメディになってしまっていることが残念でした。

なぜルパンは盗みを働くのか、クラリスが本当に求めているものとは、カリオストロ夫人は単なる悪女なのか、ボーマニャンについてももっと深められるように思ったのです。夫人は最後にネタバレしていましたが、あれだけだと惜しい。

 

私が読んだ感想の中で、このミュージカルが違うキャストで再演できるものなのか、という疑問を書いておられるものがありました。

まさに、そこです。

 

普遍的なテーマがあればいいのですが、古川さんのトップお披露目公演的つくりなので、彼ありきだと思うのです。

 

原作を離れて好きなように書いた、ということなのですが、それならそれでもっとやれたように思います。

真風版で『NEVER SAY GOODBYE』を観たとき、本当に心震えました。小池先生・・

 

私はこの5年は大劇場公演は全て観てきました。しかし、昨年後半の宙組公演から例の事件があって以来縁がありません。友の会もやめることにしましたし、この先もたまたまチケットを入手することができれば行こうかな、程度まで気持ちが離れました。言いたいのは、その程度のライトファンではありますが、コロナの間も頑張って観てきた程度の宝塚観劇歴とはいえ、小池先生はこのような作品しか書けないというわけではなかろうに、と思ってしまったのです。

(正確にいえば、壇れいさんの現役のころも宝塚は観に行っていますので、5年だけというわけではないんですが・・)

 

楽しくなかったわけではないのですが、私は娯楽作品より、メッセージを感じる心動かされる作品が好きだな、と思ってしまったわけです。

 

キャストに文句があるわけでもなく、カリオストロ夫人の男装姿を考えれば宝塚の元トップが演じるのは自然ですし、あの古川さんと張り合うという意味では、このキャスティングは今ベストなのかもしれません。加藤清史郎くんはよかったです。若々しいし、歌も申し分なく、これからが楽しみですね。

 

でも、いまいちもやもやとしてしまい、すっきりしないで帰途に就きました。

そして、能登のみなさんのことを思うと胸がきゅうっとなってしまっていました・・